BETABOME(ベタ褒め)FACTORY

自分を褒めて。同時に他人も褒めて。色々感じたことや考えたことを書きます。

アート「YBAs(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)」を紹介しつつ、「禁忌(タブー)」と「炎上商法」ついて考える。

「YBAs(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)」は1990年代にイギリスで活動していた。若手のアーティストたちの総称だ。
若い、
イギリスの、
アーティスト。
文字通りである。

文字通りな総称とは裏腹に彼らの作品は、、、
問題だらけだった。
どういうことか?
彼らの作品は禁忌(タブー)に触れるとてもショッキングなものだったのだ。
具体的には
「死」をダイレクトに連想させるもの
あからさまな性表現
殺人を肯定しかねないもの
宗教への冒涜を思わせるもの
である。
今回は彼らの作品を紹介しつつ、禁忌(タブー)に触れる作品について考えを深めたい。
話は

  1. 「YBAs(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)」の誕生と有名になるまでの流れ
  2. 作家の紹介と彼らが有名になるためにとった戦略
  3. 禁忌に触れた露悪的な作品を発表することと「炎上商法」の関係

です。
彼らの作品は禁忌に触れるので、苦手な方は注意してください。
グロテスクな画像は無いです。

個人的には否定寄りな意見になると思いますが、考えをシェアしたいです。

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 「YBAs(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)」の誕生と有名になるまでの流れ

1988年に「ダミアン・ハースト」を含める16人の学生がロンドンの空き倉庫で「フリーズ」展を行った。
それが「YBAs(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)」(以下YBAs)のはじまりである。
当時、政府の美術に対する支援はなく、美術商は若手の作家に関心を持っていなかった。
つまりイギリスの若手作家たちは詰んでいた。
だから彼らはただの「空き倉庫」で展示をするのだ。
画廊でも美術館でもない倉庫。
彼らのこの活動は、アートコレクターの「チャールズ・サーチ」の目に留まった。
サーチ氏は若手の表現に可能性をみたのだ。
これがYBAsのはじまり。

そして1997年、コレクターのサーチ氏が所有するYBAsの作品は
「センセーション サーチ・コレクションのヤング・ブリティッシュ・アーティスト」展
にて世界中から注目されることになる。
ざっくりと言うとこれがYBAsの誕生と有名になるまでの流れだ。

作家の紹介と彼らが有名になるためにとった戦略

いくらコレクターのサーチ氏が彼ら支援したからといって、1988に誕生しおよそ10年で世界中から注目を浴びると言うのはいくら何でも話が良すぎる。
まるで絵に描いたようなサクセスストーリーじゃないか?
そう思うかもしれない。
しかし彼らの作品は想像を超えてショッキングなものだった。

YBAsの作家を紹介しよう。
ダミアン・ハースト
YBAsのはじまりである「フリーズ」展で展示を行った学生の1人。
有名な作品は動物をホルマリン漬けにした作品群だ。
「生者の心における死の物理的な不可能」
は4,3メートルのイタチザメを透明ケース内にホルマリン漬けして保存した作品。

それから縦に真っ2つに切断された牛と子牛をホルマリン漬けにした作品
「母と子 分断されて」

ハーストと言うとホルマリン漬けの作品が有名だが、初期の頃はホルマリン漬けせずにガラスケースの中に牛の頭をおいた作品「1000年」がある。
牛の周りに蛆がわきハエが生まれる。
ガラスケース上部には殺虫灯が設置してあってハエはやがて死ぬ。

俺が実際に見たハーストの作品は本物の蝶々を画面に貼り付けたつくられた作品シリーズ「Kaleidoscope Paintings」のみでグロテクスな作品は見ていない。
しかし、文章だけでも作品がショッキングであることは明白だ。

トレイシー・エミン
有名な作品は「マイ・ベット(私のベット)」(1998年)
当時鬱状態であった彼女はベッドからほとんど出ずに生活していた。
食事をとらずアルコールばかり摂取し、ベッドは汚れ周囲には生活ゴミ、生理用品、下着、など。
彼女は当時、実際に使っていた自分のベッドをそのまま作品にした。
因みにこの作品は2014年4億4309万で落札された。
生々しい。
(記事書くの嫌になってきた)
ジェイク&ディノス・チャップマン(兄弟)
「昇華されないリビドーモデルとしての接合子の増殖」
この作品は複数設置された裸の少女の顔に性器がついているマネキンだ。

マーカス・ハーヴィー
肖像画「マイラ」
これは連続男児誘拐殺人事件の主犯である「マイア・ヒンドラー」の肖像画子どもの手形で描いたもの。

クリス・オフィーリ
「聖女マリア」
これは絵の台座がゾウのウンコ(本物)
そしてキリストの母マリアを黒人として描いている。
更にマリアの胸にゾウのウンコ(本物)でつくられている。
実際見たことはないけど、写真で見る限り意外にコミカルな印象?
しかし当時の市長がミュージアムを訴えるという裁判沙汰にまで至った。

コレクターサーチ氏は
「センセーション サーチ・コレクションのヤング・ブリティッシュ・アーティスト」展
にてこれらの作品を含む42名の作家のさくひん110点を公開したのだ。
こんなショッキングな作品たちが110点。
胸焼けするってレベルじゃない。

YBAsの作家が空き倉庫で作品を初めて発表してから10年経って
「センセーション サーチ・コレクションのヤング・ブリティッシュ・アーティスト」展にて彼らは一躍有名になった。
しかしその内実、彼らの作品は禁忌(タブー)に触れる作品ばかりだったのだ。
死、性、宗教。
当然、見る者は彼らを批判した。物議を巻き起こした。
そして繰り返される批判と物議の中で彼らは世界中で有名になっていき、作品価値は跳ね上がっていったのだ。
トレイシー・エミンのように本当に自身が苦しみの境地に至って出来上がった作品もあれば、
戦略的に世界からの批判を集めて注目されることを狙った作家もいただろう。
個々の作家の思考はわからない。
しかしコレクターサーチ氏は戦略的だったに違いない。

禁忌に触れた露悪的な作品を発表することと「炎上商法」の関係

ここまでで「YBAs(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)」の紹介を終わります。
ここからはYBAsに対する個人的な考えになります。

皆様は彼らの作品に対してどう思いますか?

危ないことを簡単にやってのける姿勢に感動した!かっこいいぜ!
一種の怖いもの見たさが満たされた満足感
私はグロテスクなものが好きなのでワクワクしたわ!
衝撃的だったが「死」についてに考えることができた!
特に興味なし!
このYBAsの作家たちって変な人たちばかりだ。頭おかしい!
大きく倫理を外れた表現に怒りと悲しみでいっぱいだ
いくら表現は自由っていったいってやっていいことには限度がある。最低最悪だ。
確かに衝撃的だけど話題性だけだよね。

もちろんどんな感想であれ、自由な訳ですが、
俺はこの禁忌に触れた作品を発表して有名になっていくというやり方。
20年経った今でいうところの「炎上商法」の形に非常に似ているように感じた。
「炎上商法」とは、Wikipediaによれば

炎上を意図的に引き起こし、世間に注目させることで売り上げや知名度を伸ばすというマーケティング手法である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/炎上マーケティング

今日、TwitterYouTubeなどのSNAで、誰でも情報を発信することができる社会だ。
そこであえて非難を浴びる発言、表現を発信することで批判を集めて物議を巻き起こす。
そして知名度を上げていく。
俺にはこの「炎上商法」とYBAsの戦略が非常に似ているように思われたのだ。
YBAsを代表する作家ダミアン・ハーストはアート活動を完全にビジネスとして考えている。
2008年に「私の頭の中は永遠に美しい」という作品をギャラリーを通さずそのままサザビーズのオークションにかけた。
本来ならば作家はギャラリーを通してオークションにかけるのが普通なのだ。
このことからも分かるように彼の持つ1面に
お金の為のアート
というキーワードをみることができる。
もちろんこれは個人的で勝手な感想だが、俺はYBAsから炎上商法というマーケティングの形をみた。

で、だからなんなの?

って話になるわけだが、
あえて禁忌にふれた露悪的な作品を発表すること
そして
批判や物議を巻き起こしながら有名になっていった形
に、個人的には
否定的です(個人の意見です)
俺は
アートってのは人の心を癒し
人に新しい考え方や価値観を与え
感動と驚きを与えるもの
だと思っている。

YBAsの作品は確かに見る人に驚きとショックを与えたかもしれない。
けれど、作品を見る人の中には嘔吐してしまう人がいたり、怒りを買って裁判にまで発展してしまったのも事実だ。
人に怒りや悲しみなどの不快感を与えることで、注目を集めるやり方は炎上商法に似ており、そういう負の力で大きくなったアートはやっぱり、あんまり好きじゃない。
というのが本音です。

今回は以上になります。
「YBAs(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)」を紹介しつつ、
「禁忌(タブー)に触れる作品」と「炎上商法」について考えてみました。

トレイシー・エミンが重度の鬱病を患っていることは明らかになっていますが、
ダミアン・ハーストも1995年以降、深刻な薬物中毒とアルコール依存症に冒されているそうです。
このような過激な表現の「代償」、みたいなものを感じずにはいられません。
もちろん好き嫌いは別にして、YBAsがアートの全てではないので、このような表現があってもいいとは思います。
そして幸か不幸か、イギリスはYBAsの恩恵を受けてアートが活発になったのも事実です。
しかしYBAsの背景に言葉では表しきれない怖いものを感じるのです。

またYouTubeでみかける炎上をねらった過激な動画や、Twitterでの毒舌などの危ない発言にも怖いものを感じます。
批判や物議を巻き起こしている段階ならまだマシです。
しかし、今後、一線(ボーダー)を超えてしまう人が現れないとは限りません。

皆さんはどう思いますか?
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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