BETABOME(ベタ褒め)FACTORY

自分を褒めて。同時に他人も褒めて。色々感じたことや考えたことを書きます。

アート「アクションペインティング」を紹介しつつ、「命を削る事」について考える

Hi!
最も高額な絵画ランキングを調べてみる。
すると第5位に
ジャクソン・ポロック」の「ナンバー17A」
という作品が2015年に日本円にして223億円で落札されていることが分かった。
223億
まじか!?
しかも肝心のその絵は圧倒的に美しい女性の絵でもなければ壮大な風景画でも無い。
その絵は一見ただ絵具を撒き散らしているだけに見える。
これが223億。
1億が223個。
。。。
なんで???
なんでこの絵はこんなに高い???

ということで今回はジャクソン・ポロックの「アクションペインティング」を紹介しつつ、
彼の技「アクションペインティング」が極端に命を削る行為であり、
「命をかける」こと「命を削る」ことについて考えを深めたい。
話は

  1. 「アクションペインティング」とは?
  2. 「アクションペインティング」の凄さ。「アクションペインティング」は格闘技である。

です。

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 「アクションペインティング」とは?

まずは「アクションペインティング」とはなんぞや?
という話をしたい。
説明するのは簡単だ。

大きなキャンバスを床にねかせる。小さなキャンバスでは駄目です
なぜ小さいキャンバスでは駄目なのか?は後に記述します。
そして、筆に絵具をつけてキャンバスに
絵具をたらしたり、したたらせたり、まきちらす。
以上!!!

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(作例。絵具をたらしたり、したたらせたり、まきちらす。ポロックの作品ではありません)
。。。
おい!
おいまじかよ!!
それだけで。
それだけで223億。
そんなの俺でもできる。
私でもできる。
幼稚園児のお遊びじゃんか!
やっぱりアートの世界はおかしい。よくわからない。

はい。
ということで、
「アクションペインティング」のやり方がわかったところで
徐々に「アクションペインティング」の凄さ
に迫っていきたい。

ジャクソン・ポロック(以下ポロック)は1947年頃からキャンバスを床にねかせて、
絵具をたらせたりしたたらせたり、まきちらす、描き方をはじめた。
作品が発表された当時、
やはり賛否両論だった。
新聞や雑誌ではからかい半分でとりあげられたらしい。
しかし彼の作品を称賛した人物に美術批評家の「クレメント・グリンバーグ」がいた。
そして
ポロックの絵をグリーンバーグが絶賛することで、彼の絵の価値が高まっていったのだ。
こんなイメージ。
ポロック→作家(絵を描く)
グリーンバーグ→批評家、ビジネス(金に繋げる)

2人は二人三脚で「アクションペインティング」の価値を高め、ポロックが亡くなった現在2019年彼の絵は223億にまで価値を高めた。

「アクションペインティング」の凄さ。「アクションペインティング」は格闘技である。

で?
結局なにがそんなに凄いの?
うん。
まず「アクションペインティング」のやり方は前述した通りだ。
一見したら誰でもできそうだ。
皆さんはやってみたいですか?
「まぁ絵具とキャンバスと描く場所をくれたら遊びでやってもいいよ」
って感じだろうか?
しかし
ポロックはこの「アクションペインティング」に命をかけた。
はぁ??
何言ってんの?
絵を描くだけなのになんで命をかける必要があるんだよ?

という疑問が挙がる。
ではもう少し「アクションペインティング」の真髄に迫りたい。

ポロックが「アクションペインティング」という技法のヒントを得たものの1つに
シュルレアリスム」がある。

シュルレアリスム」に対する詳しい説明は、別の記事↓で紹介してますので併せてご覧ください。

betabomefactory.hatenablog.com

そして「シュルレアリスム」の「オートマティスム(自動記述)」が「アクションペインティング」の大元になっているのだ。
そこでもう1度さらっと「オートマティスム(自動記述)」について説明する。
オートマティスム(自動記述)」とは物凄く速い速度で、予定、構想を全く練らずに文章を書いていく方法である。
以前、俺も試しにやってみたんだけど。
これ、相当つかれる。
そして、めでたく
キチガイ文章が出来上がるのだ。
当然である。
人間がイメージするより速くより速く、文章を書くわけだから
どんどんおかしくなっていく。
因みに俺は「オートマティスム(自動記述)」を極めていくと「統合失調症」になると思っている。
それくらいやばい技法なのだ。
で、
「アクションペインティング」の元が「オートマティスム(自動記述)」である理由。
これは「アクションペインティング」もまた、物凄く速い速度で、イメージに囚われずに描く方法だからである。
オートマティスム(自動記述)」が超速で予定や構想を置き去りにしたように
「アクションペインティング」はイメージを置き去りにする。
例えば、俺たちが「アクションペインティング」をやった時、滴らせた絵具が偶然「雨」に見えたとしよう。
すると俺たちは「雨」からイメージを広げて、次に「傘」を描きたくなったり、「カエル」を描きたくなったりする。
しかしだ!
「アクションペインティング」はイメージすることを否定しなければならないのだ。
偶然、滴らせた絵具が「雨」に見える、というイメージを否定する。

これってやってみると分かるんだけどかなりキツイ。
イメージすることとの戦い。
自分の脳との戦い。
になる。
俺たちはどうしたってイメージする。
特に絵を描いている人間なら尚更イメージする力が強い。
それとの戦い。
すると現れるのはやはり無意識の世界。
オートマティスム(自動記述)」を極めると俺は「統合失調症」になるって思ってるんだけど
「アクションペインティング」を極めると果たしてどうだろうか?
俺はやったことないからなんとも言えないけど
多分かなり危ない
後輩で「アクションペインティング」を制作に取り入れていた人がいたが、高熱を出して寝込んだ経験をしている。

結論
「アクションペインティング」はイメージすることを否定しながら、イメージを置き去りにして描く技法。
そしてイメージを置き去りにして、高速で描き続けると人の命は削れる。

さて、俺たちはここにきて「アクションペインティング」が何かに似ていると気づく。
そう。
それは格闘技。
俺はファンって程でもないんだけど、「K-1」や「RIZIN」での試合を見るのが好きだ。
彼らは不屈の精神で体を鍛え、その鍛え上げた体と精神力で試合に臨む。
彼らプロ選手は大小あれど「命をかけ」「命を削って」試合に臨む。

ポロックの「アクションペインティング」の姿勢は格闘家の姿勢に似ているのだ。
キャンバスを闘技場として、そこでイメージすることと戦うのである。
これが「アクションペインティング」の命の削り方である。
因みにキャンバスが格闘の場なので、小さいキャンバスではいけないのです。

格闘家はなぜ命を削ってまで人を殴るのか?
そして格闘家のファンはなぜ彼らに魅せられるのだろうか?
という問いに対して安直に答えることはできない。
しかしプロ格闘家は
スリル、興奮、勝利の味、観客の歓声、名誉、など、俺が感じたこともない感動を味わい、「格闘」に魅せられているのだろう。

そしてポロックも「アクションペインティング」に魅せられ、格闘家と同じように命を削って取り組んだのだ。
ポロックは44歳という若さで飲酒運転のさなか、交通事故で命を落としている。

俺の個人的な意見だけど「アクションペインティング」は非常に危険だと思う。
もちろん、適当に絵具をたらし、したたらせ、まきちらしても、なんにも危険ではない。
しかしイメージすることをを拒絶しながら、「アクションペインティング」をすること、そしてそれを追究して生涯にわたってやり続けることは
「ゆっくり行う自殺行為」
だと思う。

以上になります。
今回は「アクションペインティング」を紹介しました。
好き嫌いは別にして、「アクションペインティング」に対する考え方や思考が広がれば嬉しく思います。

冒頭でお話しした通り、彼の作品は223億の価値があります。
しかし、俺には
「アクションペインティングを生涯にわたって行う」
行為っていうのは
「ゆっくり行う自殺行為」
に思えます。

しかしそれを言ったら格闘家も同じです。
私たち人間は心のどこかで
「命を削る覚悟」
「命を投げる姿勢」
みたいなものに一種のスリルを感じる楽しみを覚え、
同時に勇気や感動を覚え、痺れるのかもしれません。

しかし、プロ格闘家に引退があるように
ポロック
もう少し早く引退すれば良かったのになぁ、
と個人的には思います。
「アクションペインティング」は真剣に追究し続ければ確実に精神を蝕みます。
いくら大金と名誉があっても
。。。なんともなぁ、
という感じです。

皆様はどう思いますか?
仮に大金がもらえることが約束されていたとして、
命を削って「アクションペインティング」挑戦してみますか?

最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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